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執筆者の写真神明建築工房

自然災害と向き合う建築

災害に対して建築ができることとは

 

「災害は忘れたころにやってくる」。

昔のように災害のことはすっかり忘れてしまい、また同じ過ちを繰り返してしまうことに対して警告の意味で述べています。

現代では災害の情報はテレビやラジオ、インターネットなどでリアルタイムに知ることができ、

また過去の災害情報も動画で配信される時代となり、 インターネットを通じて調べたい時に即座に調べることができるようになっています。

 過去の災害を教訓にとして、日頃から出来る備えについて考えていきます。



事前準備で被害を最小限に

 














近年、台風やゲリラ豪雨などの被害のニュースを目にすることが多くなってきました。

自然災害による被害は、一戸建てに住んでいる以上、もはや他人事とはいえません。

台風が来てもなるべく被害が起きないようにするには事前に何をするべきなのか、そしてもし被害に合ったらどうすればいいのかを常日頃から考えておくことが必要です。



住まいの台風対策は台風シーズン前に行うのがベスト

 

風速20~25mでは看板や屋根瓦がはがれます。一昔前までは台風予想がされるとすぐに、シャッターを閉めたり、ガラス窓が割れないように板を打ち付けたりしていました。


通常、窓ガラスが台風で割れる可能性は低いのですが、実は窓ガラスが割れる原因の大半は、風で飛ばされた物が当たることによるものです。気象庁(※)によると、最大風速が約17.2m/s以上になると台風であると定義されています。


ただし、平均風速20~25m/s(瞬間風速30m/s)で看板や屋根瓦がはがれるレベル、さらに平均風速30m/s以上になると外装材が飛散したり、樹木が倒れたりするレベルになるため、台風が来ている状況下で台風対策をすることは大変危険を伴います。


近頃、頑丈な建物が増えたためか、台風が来ても対策をするという意識が薄い方も珍しくありません。しかし、自然災害を軽視せずにさまざまな被害を想定して、台風シーズンが来る前に住まいの点検や対策をしておくことが大切です。



家を建てる前にエリアの災害危険度を確認

 

家を建てる前にエリアの危険度は?これから家を建てる土地を探す際にやっておきたいことは、自治体が公開しているハザードマップや、浸水実績図を確認することです。

ハザードマップとは、水害や地震、土砂災害などの発生が予測されるエリアが示されている地図のことです。被害の範囲や程度、避難経路などが分かるので、まずは建設予定地の災害危険度を調べることをおすすめします。

浸水実績図を見ると、過去にあった洪水被害を把握することができます。

浸水被害をみると、被害は河川の近くに限らず、地形にも影響を受けていることがわかります。

床上浸水などの水害が心配される場合、敷地全体に盛り土を行い、基礎部分を高く作る、土地をかさ上げすることで周辺の地域よりも家自体を高くすることが有効です。

また、住宅の周囲に防水性のある塀を作ったり、防水性のある建材で建物を囲んだりといった方法で浸水を防げるケースもあります。

事前に入手できる情報をもとに、家を建てる前にエリアの危険度を確認しておきましょう。



台風被害を最小限に抑えるためにできること

 















瓦は台風に強い屋根材と言えます。一戸建てで台風被害に遭いやすい箇所は屋根が多いのですが、台風の前に屋根材の強度を上げることや、屋根材の痛みやズレがないかを見ておくことで、災害への備えになります。

住宅で使用されている代表的な屋根材は、瓦、スレート、ガンバリウム銅板の3 種類。

その中で瓦は最も重量があり、強い風が吹いても飛びにくく、防水性もあるため台風に強い素材といえます。実際に台風が多い沖縄では、吸水性・通気性が高い琉球赤瓦がよく利用されています。

琉球赤瓦は、瓦の継ぎ目と側面に漆喰を塗ることで飛ばないような工夫がされています。

嚙み合わせ構造で耐風効果があり、防水効果もある防災瓦は、台風対策に有効です。

重量のある瓦の落下を減らすために開発された、軽量瓦という屋根材もあります。

瓦と同じような外観で通常の瓦の約半分の重さなので、万が一落下しても被害が少なく抑えられます。

外にある物置きや植え木も対策をしましょう。

庭先によくあるスチール製の物置や植木も、倒れやすいので対策が必要です。

植木は台風が接近する前に始めから横倒しにしておくか、室内に入れておくとよいでしょう。

物置を移動させるのは難しいので、DIYが得意な方はアンカーを打つ方法が有効です。

庭の状況や素人DIYだと不安だという場合は、手軽にできる方法として、一旦物置の中の物をすべて出し、重しの代わりとなるコンクリートブロックを底一面に敷き詰めてから、その上にクッション性のあるマットを置くと安定感が増します。

土のうで塞ぐ手段も有効です。

暴風対策だけでなく、浸水対策も忘れずに

 

台風が近づくと雨戸を閉める、室外の飛びそうなものを室内に入れる等の対策を行うことは大事ですが、ゲリラ豪雨が予想される場合は、暴風対策と同時に浸水対策も忘れずに行いましょう。

まずは、水の浸入を防ぐために玄関先や敷地入口に土のうを積みます。

雨戸やシャッターにも土のうを積んでおくと安心です。

また、大雨が降った際に雨水が下水道に逆流してくる場合があるため、キッチンやトイレなどの排水溝を土のうや水のうで塞ぐことも忘れないようにしましょう。


もし浸水してしまったら

 

万一、住まいが床下浸水、床上浸水に見舞われたり、建物が破損した部分から水が室内に侵入してきた場合は、早急な対応で被害の拡大を防ぎましょう。

まずは、建物を乾燥させるために、床下や床上に溜まった汚水や泥を外に出すことが大事です。

そして、建物の破損箇所からの雨の侵入を防ぐために、ブルーシートなどを使って補強します。



最後に

 

備えあれば憂いなし

自然災害はいつどこで起きるかわからないからこそ、日頃からの準備が必要です。

大切な住まいを守るためにも、大切なお家のあれこれ見直しませんか。

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