今回は、戦後のアメリカの人々の暮らしを賑わせたインテリアデザイン「ミッドセンチュリー」をご紹介したいと思います。
まず皆さんはミッドセンチュリーという言葉をご存じでしょうか?

ミッドセンチュリーとは「1世紀の中間」という意味で、
20世紀半ばの1940~60年代にブームになったアメリカ生まれの家具や
建築物のデザインのことです。
不要なデザインや機能を排除したシンプルでモダンなデザインの中に
映える温かなカラーの家具たちが、現代でもインテリアのカテゴリとして高い人気を誇っています。
当時の第二次世界大戦中、アメリカでは軍事産業によってプライウッドやFRPと呼ばれる「繊維強化プラスチック」などの新素材の開発、
それの加工に発展し、その素材はもちろん軍事用だけでなく住まいにも
応用されるようになりました。
その後著名なデザイナーや建築家により、家具をデザインする上で曲線をデザインできるFRPやプライウッドは大活躍する事となります。
このインテリアデザインが急速に広まったのは、新しく登場した素材の
加工のしやすさと、大量生産を可能にしたアメリカの工業力が要因です。
従来までの伝統的な手法で製造された、直線的な家具や雑貨と比較して、シンプルながらも曲線を多用したデザイン性と丈夫な素材で制作された
このインテリアは、昔から現代でも異彩な存在感のあるスタイルです。

この時代の代表的なデザイナーで真っ先に名前が挙がるのは、
やはりイームズ夫妻ことチャールズ・イームズとレイ・イームズですね。
彼らはプライウッドの研究や開発、それらを使用したインテリアの制作、建築や映画製作、グラフィックデザイン等多数の作品を誕生させるなど、モダンデザインのパイオニアとして活躍しました。

その他にも通称「ネルソンベンチ」や「マシュマロソファ」の
ジョージ・ネルソン、「AKARI」や「モエレ沼公園」を作った
イサム・ノグチ、また私の好きな「ダイヤモンドチェア」という僅か
1シリーズのみで、デザイナーとしての地位を確立した彫刻家の
ハリー・ベルトイアなど、数多くのデザイナーや建築家がこの頃の
ミッドセンチュリースタイルを創り上げてきました。

そんな現代でも愛されているミッドセンチュリーインテリアですが、このインテリアを再現する為に必要なポイントは「温かみの中にある無機質な素材とモダンな家具・温かみのある色と中性で地味なパレットで飽和した色合い・少しレトロな雰囲気」を意識する事かなと思います。
ヴィンテージな家具の中に突如入り込んでくる金属やアルミ,ガラスなどの無機質な素材感が、戦後アメリカが急激に栄えた故の矛盾感であり、
ミッドセンチュリーテイストとはそんな激動の時代を現したインテリアスタイルなのではないかと思います。
近代的なデザインとヴィンテージ感のあるレトロな雰囲気が魅力のミッドセンチュリーは、配色やインテリア選択の難易度が高いですが、ポイントを押さえると本当に素敵な空間を作り出せます。
是非一度参考にして、インテリアデザインの引き出しを増やしてほしいなと思います。

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